山口県下関市は2026年10月13日、防災メール配信システムの委託先が第三者による不正アクセスを受けたことに伴い、同日11時から防災メールの配信を緊急停止したと発表しました。対象となる「下関市防災メール」には約1万5,000件の登録があり、連絡先などの情報が漏えいした可能性について調査が続いています。
10月14日には下関市消防局が、同じ事業者の「NET119緊急通報システム」についても、登録者50人の個人情報に漏えいの可能性があると公表しました。NET119は利用を継続できる一方、新規登録を停止しています。いずれも登録情報がすべて外部流出したと確定した発表ではありません。
下関市の防災メール・NET119への影響のサマリー
- 2026年10月11日16時30分、配信サービス事業者の株式会社アルカディアが不審なアクセスを検知しました。
- 10月12日3時ごろ、事業者が不正アクセスの侵入経路を塞ぐ応急措置を実施しました。
- 10月13日11時、下関市防災メールの配信が緊急停止されました。
- 防災メールには約1万5,000件の登録があり、連絡先データ、担当者・契約者情報に漏えいの可能性があります。
- 10月14日付の第3報では、防災メールの新規登録・登録内容の変更も停止しており、復旧時期は示されていません。
- 消防局が使用するNET119でも、登録者50人の氏名、生年月日、住所、連絡先などに漏えいの可能性があります。
- NET119は通報サービスを継続していますが、新規登録を停止し、対象者へのメールによる注意喚起を行っています。
- 事業者は10月15日13時30分、一部配信サーバーを同日15時ごろに復旧する予定と公表しました。下関市のサービスの復旧完了を確認した発表ではありません。
| 項目 | 下関市の公表内容 |
|---|---|
| 原因となった事案 | 株式会社アルカディアが運営するサービスへの第三者による不正アクセス |
| 不審なアクセスの検知 | 2026年10月11日16時30分 |
| 侵入経路の応急措置 | 10月12日3時ごろ |
| 防災メールの登録規模 | 約1万5,000件(漏えい確定件数ではない) |
| 防災メールの状況 | 10月13日11時から配信停止。新規登録・登録変更も停止 |
| NET119の登録規模 | 50人(漏えいの可能性がある情報の対象者規模) |
| NET119の状況 | 通報機能は利用可能。新規登録を停止 |
| 漏えいの確定状況 | 事業者が影響範囲と漏えいの有無を調査中 |
防災メール約1万5,000件が調査対象、配信は10月13日から停止
下関市が利用する「SpeeCAN RAIDEN(スピーキャン・ライデン)」は、防災情報などを登録者へ一斉配信するシステムです。10月13日付の市の記者発表資料によると、委託先での不正アクセスを受け、配信機能を停止しました。
同市が示した約1万5,000件は防災メールへの登録数です。漏えいの可能性がある情報として挙げられているのは、連絡先データや担当者・契約者情報で、実際に外部へ流出したかどうかを含め、事業者が調査しています。登録件数をそのまま「1万5,000人の漏えいが確定」と読み替えることはできません。
10月14日更新の第3報では、防災メールの配信ができない状態に加え、新規登録と登録内容の変更も停止していると説明しました。メールアドレスが漏えいしていた場合には行政機関などを装う不審メールが届くおそれがあるとして、市は登録者に警戒を呼びかけています。
防災メールを利用できない間、市は災害時の情報をLアラート経由のテレビ表示・データ放送、市ホームページ、防災行政無線、公式SNS(X・LINE)、しもまちアプリ、ラジオ、広報車、山口県防災Webなどで発信する方針です。火災情報については自動音声の案内サービスも利用できます。
NET119でも50人の個人情報に漏えいの可能性―通報機能は継続
下関市消防局は10月14日、アルカディアが提供するNET119緊急通報システムへの不正アクセスに関連し、登録者50人の個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。
NET119は、聴覚や言語機能に障害があるなど、音声による119番通報が難しい人が、あらかじめ登録することでスマートフォンなどから通報できる仕組みです。防災情報を広く配信するメールサービスとは用途が異なります。
消防局が挙げた対象情報は、利用者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、FAX番号、ほかのサービスの登録時に入力した情報です。消防局は利用者にメールで注意を促し、新規登録を停止しました。一方、登録済み利用者はNET119による通報を引き続き利用できると説明しています。
アルカディアの10月14日更新情報では、NET119関連のサービスについて不正アクセスの形跡があり、情報が漏えいした可能性を公表しています。ただし、映像通報については漏えいの可能性がないと説明しています。
防災メールの約1万5,000件は登録件数、NET119の50人は登録者数であり、対象情報や集計単位が異なります。両者を単純に合計して漏えい人数を算出することは適切ではありません。
運営事業者は不正アクセスを確認、10月15日に一部サーバーの復旧予定を公表
アルカディアは10月13日、第三者による不正アクセスを確認したと発表しました。侵入経路の遮断と不正なアクセス元IPアドレスの拒否設定を実施し、調査を進めています。
同社が10月13日に示したSpeeCAN RAIDEN全体の漏えい可能性の最大推定値は、メールアドレス約313万6,000件、電話番号約10万5,000件、FAX番号約1万5,000件です。これらは全国のサービス利用環境に関する推定値であり、下関市の登録件数に追加して合算する数値ではありません。
10月15日10時12分の更新では、事業者として個人情報保護委員会へ報告し、警察などの関係機関にも相談・通報したと説明しました。さらに同日13時30分には、緊急停止していた一部のSpeeCAN RAIDENおよびライデン・スクールのサーバーについて、15時ごろの復旧を予定していると発表。利用再開時にはログインパスワードの変更を求めています。
ただし、この予定が下関市防災メールの配信再開を直接意味するとは限りません。下関市のサービス停止・再開状況については、市の公式発表を確認する必要があります。
登録者が確認したいことと、自治体の対応
下関市防災メールの利用者は、配信が停止している間、市が案内する公式サイトや防災行政無線、SNSなど複数の経路で避難情報・災害情報を確認できます。メールで「登録情報の再確認」「サービス再開のためのログイン」などを求められた場合も、記載されたURLにすぐアクセスせず、公式サイトを別途開いて真偽を確認することが被害防止につながります。
NET119の登録利用者については、新規登録の停止と既存利用者による通報の継続を区別する必要があります。通報機能自体が停止したとの情報ではないため、利用者や支援者は消防局の最新案内を優先してください。
自治体・公共サービスの担当部門にとっては、同じ事業者のシステム障害でも、防災情報の一斉配信と緊急通報で継続の可否や代替手段が異なる事例です。委託先で事故が起きた場合、サービスごとの停止判断、登録データの影響範囲、住民への連絡方法を分けて整理する必要があります。
今回の不正アクセスは複数自治体が利用する共通サービスで発生したもので、下関市のネットワークに独立した侵入があったと確認された事案ではありません。関連する経緯は南房総市・下関市の防災メール停止に関する初報およびSpeeCAN RAIDENの影響自治体まとめで整理しています。





