ビジネスメール詐欺(BEC)・ニセ社長詐欺 不正送金被害まとめ-はてななど上場企業関連9社とLINE誘導型詐欺含む21件・被害総額約22億740万円超【2026年最新版】

サイバー攻撃の事例

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ビジネスメール詐欺やなりすまし チャットによる不正送金 被害 まとめ-上場企業関連6社で-被害総額約15億円超。手口別に事例と対策を解説【最新版】

社長や役員になりすました人物からの指示で、SNS・ビジネスチャットのグループ作成を経て送金してしまう「ニセ社長詐欺(ビジネスメール詐欺/BEC)」の被害が、2026年に入り全国で相次いでいます。上場企業から地方の中小企業、さらには保育園・病院・農協・警察の公開窓口に至るまで、標的は業種・規模を問いません。本記事では、当サイトが継続的に取材してきた事例を、上場企業関連と地方・中小企業関連に分けて整理し、被害総額の推移と共通する手口、企業が取るべき対策をまとめます。

この記事のサマリー

  • 2026年に入り、社長・役員になりすましたBEC(ビジネスメール詐欺)・ニセ社長詐欺の被害が全国で相次いでいます。
  • 上場企業関連ではこれまでに9社で被害が確認されており、被害総額は約20億9,000万円超に達しています。
  • 上場企業関連を含む当サイト把握分の件数は21件、被害総額は約22億740万円超です。
  • 最大の被害は株式会社はてな(東証グロース:3930)で、2026年4月の資金流出事案は最終的に特別損失11億7,900万円が確定し、当期純損失に転落しました。
  • 地方・中小企業では、愛媛県東温市(200万円)、静岡市(約5,400万円)、佐賀県鳥栖市(500万円)、鹿児島県内(1,000万円、550万円、1,100万円)、岐阜市(4,500万円)、山口県、秋田県(2件)、富山県高岡市(300万円)など、被害が全国各地に及んでいます。
  • 手口の多くは、社長・役員を名乗るメールでSNS・LINEグループの作成を指示し、グループ内でのやり取りを通じて送金させるという、共通したパターンをたどっています。
  • 沖縄県警本部長をかたる詐欺メールが県警の公開アドレスに到達した事例も確認されており、標的は民間企業に限らないことが示されています。

整理表——被害総額の推移

時点 対象範囲 被害総額
2026年4月時点(初版) 上場企業関連6社 約15億円超
2026年7月時点 上場企業関連9社+LINE誘導型詐欺含む 約20億9,000万円超
2026年8月時点(最新) 上場企業関連9社とLINE誘導型詐欺含む21件 約22億740万円超

上場企業関連の事例

企業名 被害額 手口の概要
株式会社はてな(東証グロース:3930) 最大約11億円(特別損失11億7,900万円確定) 2026年4月20日・21日、悪意ある第三者からの虚偽の送金指示に従い、銀行口座から外部口座へ送金
ZUU(4387) 9,600万円 ビジネスチャット上での社内役職員へのなりすまし
信和(3447) 2.5億円 サポート詐欺から遠隔操作を経てネットバンキングで不正送金(他の事案とは異なる手口)
山形鉄道 1億円 ボイスフィッシング(電話による音声詐欺)。関与したベトナム人グループが逮捕されている
ベルトラ(7048)子会社リンクティビティ 約5,000万円 フィッシングメールからSNSへ誘導される「2段階の騙し」
TOA 約9,000万円 米国子会社で発生した偽の指示による資金流出
ジェリービーンズグループ 4,500万円 なりすましメールによる資金流出

このうち、はてな・ZUU・ベルトラ・ジェリービーンズグループなどは、社長・役員になりすましたメールやチャットを起点とする典型的なニセ社長詐欺のパターンに該当する一方、信和(サポート詐欺経由)や山形鉄道(ボイスフィッシング)は、手口の起点が異なる点に注意が必要です。まとめて「BEC・不正送金被害」として扱っていますが、すべてが同一の手口というわけではありません。

地方・中小企業の事例

発生地域・企業 被害額 手口の概要
静岡市(介護施設) 約5,400万円 親会社の社長を名乗るメールでLINEグループ作成、2段階の送金指示
岐阜市(機械小売会社) 4,500万円 LINEのQRコード返信から経理担当者を追加され送金
鹿児島県内(3件) 1,000万円、550万円、1,100万円 いずれもSNS・LINEグループ作成から送金指示
京都市中京区(貿易業) 約5,880万円 社長かたり「チャットグループ作って」からの不正送金
和歌山市 3,800万円 ビジネスメール詐欺による不正送金
佐賀県鳥栖市 500万円 SNSグループ作成から送金指示
山口県内 500万円 社長を騙るメールからLINEグループ作成、翌日に送金
秋田県内(2件) 3,000万円、120万円 5日間で2件連続発生、同一の手口
富山県高岡市 300万円 LINEへ誘導するCEO詐欺
愛媛県東温市 200万円 SNSグループ作成から送金指示
沖縄県警本部長かたり 非公表 県警の公開アドレスに詐欺メールが到達、ニセ社長詐欺の手口が警察を標的にした事例

共通するパターン——なぜ騙されるのか

これらの事例に共通するのは、次の3つの要素です。第一に、社長という組織内で最も高い権限を持つ人物になりすましていること。第二に、SNS・チャットグループという閉じた空間の中で指示が完結し、第三者の目が入りにくいこと。第三に、取引先への支払いや事業資金の急な必要性など、緊急性を演出する業務上自然な文脈が使われることです。

被害の対象は、上場企業だけでなく、保育園・病院・農協といった、必ずしもセキュリティ対策に多くのリソースを割けない組織にも及んでいます。当サイトでは、国内6,000法人超を標的に「社長を騙りLINEに誘導するCEO詐欺」が急増している実態についても報じており、詳細は国内6,000法人超を標的に「社長を騙りLINEに誘導するCEO詐欺」が急増をご参照ください。

手口の詳しい仕組みや見分け方については、ニセ社長詐欺とは?手口・見分け方・対策を解説で整理していますので、あわせてご覧ください。

情報システム部門・経営層が確認すべき対策ポイント

  • 社長・役員からのメールやチャットで、SNS・チャットグループの新規作成を指示された場合は、その時点で詐欺を疑う運用ルールを社内に周知してください。
  • 送金に関する社内ルール(承認フロー、複数人での確認、送金先変更時の確認手順)を整備し、メール・チャット上の指示にも例外なく適用してください。
  • 緊急の送金依頼や取引先への支払い代行を求められた場合は、メール・チャット以外の方法(電話等、あらかじめ確認済みの連絡先)で本人に直接確認する運用を徹底してください。
  • 上場企業の場合、被害が発生した際の適時開示・特別調査委員会の設置など、対外的な対応方針をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。
  • 保育園・病院・農協など、必ずしも専任の情報システム部門を持たない組織においても、経理担当者への注意喚起と、送金前の複数人確認の徹底が有効な対策になります。

今後注目すべき点

被害件数・被害総額は今後も更新される可能性があります。当サイトでは、新たな被害事例が確認され次第、本記事を継続して更新していきます。

  • 被害総額・被害件数の今後の推移
  • 警察による摘発・検挙の状況
  • 企業側の対策強化(送金プロセスの見直し、多要素認証の導入等)の進捗

出典

法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)に注意!——警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ

ニセ社長詐欺とは?手口・見分け方・対策を解説——セキュリティ対策Lab

国内6,000法人超を標的に「社長を騙りLINEに誘導するCEO詐欺」が急増——セキュリティ対策Lab