静岡市の介護施設が親会社「社長」を名乗る詐欺(BEC詐欺)で5,400万円被害、メッセージアプリのグループ作成が起点に

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静岡市の介護施設が親会社「社長」を名乗る詐欺(BEC詐欺)で5,400万円被害、メッセージアプリのグループ作成が起点に

静岡県静岡市駿河区の介護施設が、親会社の社長を名乗る人物からの指示に従い、現金およそ5,400万円をだまし取られる特殊詐欺事件が発生したことが、静岡中央警察署への取材で明らかになりました。フリーアドレスからの連絡でメッセージアプリのグループ作成を指示され、その中でのやり取りを経て複数回に分けて送金させられる手口で、2026年に入り全国で相次いでいる「ニセ社長詐欺」の被害パターンと一致しています。

この記事のサマリー

  • 2026年8月初旬、静岡市駿河区の介護施設に、会社とは関係のないフリーアドレスから親会社の社長を名乗る人物より連絡がありました。
  • 「業務連絡を行うため」との名目で、施設長と経理担当者を含めたメッセージアプリのグループ作成を指示されています。
  • グループ内で「取引会社の振込先を指定するから、振り込み手配を進めるように」とのメッセージを受け、経理担当者が指定された銀行口座に複数回にわたり現金およそ5,400万円を振り込みました。
  • 送金後、担当者が社長本人へ入金確認の連絡を取ったことで、詐欺であることが発覚しました。
  • 静岡中央警察署は特殊詐欺事件として捜査しており、メッセージアプリ上で「お金を振り込んで」という内容は詐欺だと注意を呼びかけています。
  • 同様の手口による被害は2026年に入り全国で相次いでおり、警察庁も2月に「ニセ社長詐欺」への注意喚起を行っています。

整理表

項目 内容
被害企業 静岡市駿河区の介護施設(親会社あり)
接触時期 2026年8月初旬
接触手段 会社と関係のないフリーアドレスからの連絡
初期の指示内容 「業務連絡を行うため」施設長・経理担当者を含むメッセージアプリのグループを作成
送金指示の内容 「取引会社の振込先を指定するから、振り込み手配を進めるように」
被害額 現金およそ5,400万円(複数回に分けて送金)
発覚のきっかけ 送金後、担当者が社長本人へ入金確認の連絡
捜査主体 静岡中央警察署(特殊詐欺事件として捜査)
公表日 2026年8月6日

何が起きたか

静岡中央警察署によると、2026年8月初旬、静岡市駿河区の介護施設に対し、会社とは関係のないフリーアドレスから、親会社の社長を名乗る人物からの連絡がありました。「業務連絡を行うため」という名目で、施設長と経理担当者を含めたメッセージアプリのグループを作成するよう指示があり、施設側はこれに応じています。

その後、経理担当者は社長を名乗る人物から、グループ内のメッセージで「取引会社の振込先を指定するから、振り込み手配を進めるように」との指示を受け、指定された銀行口座に複数回にわたり現金およそ5,400万円を振り込みました。振り込み後、担当者が社長本人に入金確認の連絡を取ったところ、そのような指示を出した事実がないことが判明し、詐欺被害であることが発覚しています。警察は特殊詐欺事件として捜査を進めており、メッセージアプリ上で「お金を振り込んで」という内容は詐欺だと注意を呼びかけています。

過去にも相次ぐ「ニセ社長詐欺」、5,400万円は全国でも高水準

社長や経営層になりすまし、メッセージアプリやSNSのグループ作成を経て送金を指示する手口は、2026年に入り全国各地で相次いで報告されています。当サイトではこれらの事案を継続的に取材しており、被害総額はすでに15億円を超えています。詳細はビジネスメール詐欺やなりすましチャットによる不正送金被害まとめ-はてな など上場企業関連6社で-被害総額約15億円超で解説しています。

今回の静岡市の被害額(約5,400万円)は、これまで当サイトが確認してきた事例の中でも高水準に位置します。最大の被害は東証グロース上場の株式会社はてなで、2026年4月に最大約11億円の資金が流出したことが適時開示されています(はてなで最大約11億円の資金流出-ビジネスメール詐欺(BEC)か)。このほか、京都市中京区の貿易業の会社が約5,880万円(社長かたり「チャットグループ作って」、経理担当者が信じ込み5,880万円を不正送金)、群馬県前橋市の建設設備会社が5,000万円(社長のなりすましビジネスチャットで5,000万円詐取-群馬・前橋市の建設設備会社がビジネスメール詐欺(BEC)の被害)、ジェリービーンズグループが4,500万円(ジェリービーンズグループ、なりすましメールによるBEC詐欺で4,500万円の資金流出)、和歌山市の企業が3,800万円(和歌山市の企業がビジネスメール詐欺で3,800万円の不正送金被害)、関西の物販会社が3,000万円(社長のなりすましビジネスチャットで3,000万円詐取-ビジネスチャット詐欺やビジネスメール詐欺(BEC)に注意)、佐賀県鳥栖市の企業が500万円(佐賀県鳥栖市の企業がニセ社長詐欺で500万円被害、SNSグループ作成から送金を指示)、愛媛県東温市の企業が200万円(愛媛県東温市の企業がニセ社長詐欺で200万円被害、SNSグループ作成から送金指示)の被害に、それぞれ遭ったことを当サイトで報じています。また、国内6,000法人超を標的にした社長を騙りLINEへ誘導する手口の急増についても、国内6,000法人超を標的に「社長を騙りLINEに誘導するCEO詐欺」が急増で報じています。

これらの事案に共通するのは、実在する社長名や会社名を使った緊急性の高い業務連絡を装う点、そしてメッセージアプリやSNSのグループという閉じた空間の中で指示が完結し、第三者の目が入りにくい点です。特に前橋市の建設設備会社の事案では、社長が出張で不在である状況が悪用されており、今回の静岡市の事案とあわせて、経営者が組織を離れているタイミングを狙う手口が繰り返し確認されています。今回の静岡市の事案も、フリーアドレスからの接触、業務連絡を名目にしたグループ作成、グループ内での送金指示という、これまでの事例とほぼ同じ型をたどっています。

警察庁が示す「ニセ社長詐欺」の手口と注意喚起

警察庁は2026年2月13日、SOS47特殊詐欺対策ページで「法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)に注意!」と題した注意喚起を公開しています。手口は3段階で構成されており、経営者になりすました人物から法人のメールアドレス等へ連絡が入り、業務を装ってSNS・メッセージアプリのグループ作成と招待用QRコードの返信を指示され、その後グループ内でのやり取りを通じて口座残高を確認させたうえで、事業資金の急な必要性や取引先への支払い代行などを名目に送金を指示するという流れです。振込権限を持つ経理担当者をグループに含めるよう求められる点も特徴とされており、今回の静岡市の事案でも、まさに施設長に加え経理担当者がグループに含められています。

情報システム部門・経理担当者が確認すべき対策ポイント

  • 社長・親会社役員からの連絡で、メッセージアプリやSNSのグループ作成を指示された場合は、その時点で詐欺を疑ってください。特に、会社のドメインとは異なるフリーアドレスからの連絡である場合は要注意です。
  • 送金に関する社内ルール(承認フロー、複数人での確認、送金先変更時の確認手順)を、メッセージアプリ上でのやり取りにも適用されるよう周知してください。
  • 緊急の送金依頼や取引先への支払い代行を求められた場合は、メッセージアプリ以外の方法(電話など、あらかじめ確認済みの連絡先)で本人に直接確認する運用を徹底してください。
  • 親会社・子会社間のグループ企業間においても、通常と異なる連絡経路や指示があった場合は、正規の社内連絡網で事実確認を行う体制を整えてください。
  • 万が一送金してしまった場合は、速やかに警察・金融機関へ連絡するとともに、警察相談専用電話(#9110)にも相談してください。

今後注目すべき点

本記事執筆時点で、犯人グループの特定には至っていません。今後は以下の点が焦点になると考えられます。

  • 捜査の進展と、犯人グループの特定状況
  • 振り込まれた資金の回収可能性
  • 同一の手口を用いた他地域・他企業での被害の有無

 

出典

介護施設の親会社“社長”名乗る人物からの振り込み指示に従い 現金約5400万円だまし取られる(静岡)——日テレNEWS(Daiichi-TV NEWS NNN)

法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)に注意!——警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ

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