いわき信用組合、新たに2,369万円の不適切支出 融資先との架空取引、旧役員にも49万円

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いわき信用組合、新たに2,369万円の不適切支出 融資先との架空取引、旧役員にも49万円

いわき信用組合は2026年7月31日、金融庁に提出した業務改善計画の進捗状況を公表し、旧経営陣が過去に実施した取引に関連して、2018年1月から2026年3月まで総額2,369万円の不適切な経費支出が行われていたことを明らかにしました。

組合の公式資料によると、この支出によって融資先の同組合に対する返済資金の一部が賄われたほか、旧役員にも利益が及んでいたとしています。

読売新聞と日本経済新聞は、融資先企業に実際には購入していない物品の代金を支払う架空取引を持ちかけて資金を流出させていたと報じています。読売新聞によると、2,369万円のうち49万円が融資先から旧役員へ渡っていたとされています。

今回の支出は、2025年に第三者委員会や金融庁の調査で明らかになった無断借名融資・迂回融資などとは別に、その後の監事監査で新たに判明したものです。

いわき信用組合では、第三者委員会が1,293件、実行額累計247億7,178万円の不正融資を認定し、金融庁から二度にわたる行政処分を受けています。2025年11月には新規顧客への融資業務を1か月停止しました。

今回の新たな不適切支出は、旧経営陣の下で始まった取引が経営体制刷新後も2026年3月まで続き、内部監査によって後から発見された点で、一連の不祥事の根深さを改めて示す事案となっています。

いわき信用組合の新たな2,369万円不適切支出のサマリー

  • いわき信用組合は2026年7月31日、業務改善計画の進捗状況を公表しました。
  • 監事監査の中で、旧経営陣が過去に実施した取引に関連する不適切な経費支出が新たに判明しました。
  • 不適切な支出の期間は2018年1月から2026年3月です。
  • 支出総額は2,369万円です。
  • 公式資料では、融資先のいわき信用組合に対する返済資金の一部に充てられたとしています。
  • 公式資料では、旧役員にも利益が及んでいたとしています。
  • 読売新聞と日本経済新聞は、融資先企業に物品を購入したように装わせる架空取引だったと報じています。
  • 読売新聞によると、うち49万円が融資先から旧役員へ渡ったとされています。
  • 一連の不祥事が2025年に大きく表面化した後も、担当職員が不正に気付かず2026年3月まで支出が継続したと報じられています。
  • いわき信用組合は、現時点で同様の不適切な支出はほかに確認されていないとしています。
  • 今後、関与者の特定を進め、内部管理態勢と牽制機能を強化するとしています。
  • 旧経営陣への民事・刑事責任の追及も継続しています。
項目 内容
公表日 2026年7月31日
対象組織 いわき信用組合
発生期間 2018年1月~2026年3月
不適切支出額 総額2,369万円
発見経路 監事監査
公式に確認された資金使途 融資先のいわき信用組合に対する返済資金の一部、旧役員への利益
報道された手口 物品購入を装った架空取引
旧役員への資金 49万円と読売新聞が報道
関与者 調査継続中
同種事案 現時点でほかに確認されていない
今後の対応 関与者特定、内部管理・牽制機能強化、旧経営陣への責任追及

2018年から2026年3月まで2,369万円を不適切に支出

いわき信用組合が7月31日に公表した「業務改善計画の進捗状況について」では、「一連の不祥事件の更なる事実関係の精査及び真相究明」の項目で、新たな不適切支出について説明しています。

監事監査の中で、旧経営陣が過去に実施した取引に関連し、2018年1月から2026年3月まで総額2,369万円の不適切な経費支出が行われていたことが判明しました。

この資金は、融資先がいわき信用組合へ返済する資金の一部に使われたほか、旧役員にも利益が及んでいたとされています。

一方、公式資料では、具体的な取引の名目、融資先の名称、旧役員に渡った金額などは明らかにしていません。

読売新聞と日本経済新聞は、いわき信用組合が融資先企業に対し、実際には購入していない物品を購入したように装う架空取引を持ちかけ、その代金として資金を支出していたと報じています。

読売新聞によると、支出された2,369万円のうち49万円は、融資先から旧役員へ渡っていました。

公式資料で確認できるのは「旧役員に利益が及んでいた」という点までであり、49万円という具体的な金額は報道による情報です。

不祥事発覚後も2026年3月まで支出が続く

今回の事案で注目されるのは、不適切な支出が2026年3月まで続いていた点です。

いわき信用組合の一連の不祥事は2024年11月に表面化し、2025年5月には第三者委員会が調査結果を公表しています。

2025年5月29日には東北財務局から業務改善命令を受け、経営管理態勢、法令等遵守態勢、内部管理態勢、内部監査態勢の抜本的な改善を求められました。

さらに2025年10月31日には、反社会的勢力への資金提供や当局への不適切な対応などが新たに確認されたとして、金融庁から新規顧客への融資業務停止を含む追加の行政処分を受けています。

そのような状況の中でも、今回の不適切な支出は2026年3月まで続いていました。

読売新聞によると、一連の不正が認定された2025年5月以降も担当職員が不正に気付かず、支出が継続していたとされています。

いわき信用組合自身も7月31日の資料で、現経営陣発足以前から継続していた事案であるとしたうえで、「早期発見に至らなかったこと」を受け止め、内部管理態勢と牽制機能を強化するとしています。

現経営陣が今回の架空取引を新たに主導したことを示す情報はありません。

一方、経営体制を刷新し、業務改善計画を進めている期間中にも旧来の不適切な取引が残存していたことは、過去の不正を洗い出す難しさを示しています。

過去には1,293件・247億7,178万円の不正融資を認定

いわき信用組合の問題は、今回の2,369万円から始まったものではありません。

2025年5月に公表された第三者委員会の調査報告書では、2007年9月以降のデータなどを調査した結果、無断借名融資やペーパーカンパニーを使った迂回融資など、1,293件の不正融資を認定しました。

実行金額の累計は247億7,178万円です。

内訳は、ペーパーカンパニー3社を使った迂回融資が54件・18億1,950万円、無断借名融資が1,239件・229億5,228万円でした。

ただし、247億7,178万円すべてがそのまま組合外へ流出したわけではありません。

第三者委員会は、不正融資の多くが過去の融資の元本返済や利払いに還流していたと整理しており、実行額から組合へ還流した元本・利息を差し引くと、組合外へ流出した金額を約21億5,149万円~22億9,849万円と推計しています。

セキュリティ対策Labでは、当時の第三者委員会報告を基にいわき信用組合、不正融資の総額は約247億円 証拠隠滅と組織ぐるみの隠蔽が招いた行政処分として詳しく取り上げています。

今回判明した2,369万円は、第三者委員会が認定した247億7,178万円の不正融資実行額へ単純に加算して「総額248億円超」と扱うべきではありません。

公式資料では「旧経営陣が過去に実施した取引に関連した不適切な経費支出」と説明されているものの、過去の不正融資との会計上・資金上の重複関係までは示されていないためです。

顧客に無断で口座を開設し不正融資を繰り返した過去

一連の問題では、実在する顧客の承諾を得ないまま預金口座を開設し、その口座を使って融資を実行する「無断借名融資」が長期間繰り返されていました。

資金の一部は業績が悪化した大口融資先への資金提供や、それまでの不正融資の返済などに使用されました。

セキュリティ対策Labでは2025年5月、問題の初期段階をいわき信用組合で長年にわたる架空融資と資金流用が発覚 偽造口座87件、17億円超の不正として記事化しています。

その後の第三者委員会調査によって対象件数と金額が大幅に拡大し、最終的に不正融資実行額247億7,178万円が認定されました。

第三者委員会は、不正融資の個々の実行額が会計監査人による詳細な検証対象になりにくい水準となるよう調整されていたことも指摘しています。

単に審査が甘かったのではなく、既存の自己査定や監査の仕組みを理解したうえで、その検証を受けにくい形で不正が続けられていたことが問題の深刻さにつながりました。

反社会的勢力への資金提供も判明し、2025年10月に二度目の行政処分

2025年10月には、さらに反社会的勢力等への資金提供が長期間続いていたことが判明しました。

金融庁は2025年10月31日、いわき信用組合に対して追加の行政処分を実施しました。

金融庁は、歴代経営陣が一部の大口融資先との馴れ合いに陥り、不適切な融資を正当化していたことに加え、反社会的勢力等からの不当要求に対して毅然と関係を遮断せず、資金提供やその隠蔽を重ねたと指摘しています。

また、理事会や監事だけでなく、コンプライアンスや内部監査を所管する管理部門でも、経営陣の不合理な指示に従い、不正行為や隠蔽への加担・黙認が繰り返されていたとしています。

セキュリティ対策Labではいわき信用組合への行政指導 不正融資と反社への資金提供の全体像と癒着がもたらす組織リスクとして、この問題を取り上げています。

今回の2,369万円の不適切支出について、反社会的勢力への資金提供だったとする公式情報はありません。

過去の反社問題と今回の不適切経費支出は、同じ「いわき信用組合の一連の不祥事」という文脈にはありますが、資金の行き先や関係者を混同しないことが必要です。

旧経営陣への退職慰労金返還と損害賠償請求

いわき信用組合は、旧経営陣に対する責任追及も進めています。

7月31日の業務改善計画進捗資料によると、一連の不祥事への関与を理由に、2024年11月以降に辞任した前会長ら常勤役員7名について役員退任慰労金を不支給としました。

さらに、一連の不祥事に関与したその他の旧経営陣12名に対して、すでに支給した役員退任慰労金の返還を求めています。

返還要求に応じない旧経営陣については、2026年7月に民事訴訟を提起しました。

読売新聞は、退職慰労金の返還に応じていない旧経営陣7人に対し、計約1億円の返還を求めて7月30日付で福島地裁いわき支部へ提訴したと報じています。

また、一連の不祥事に関与した前会長ら旧経営陣19名については、役員の任務懈怠に基づく損害賠償請求訴訟も提起済みで、2026年6月30日に初回の裁判が開かれました。

刑事責任についても、いわき信用組合は告訴する方向で弁護士との協議を続けています。

理事長の在任期間を最大6年に制限

一連の不祥事では、経営トップへの権限集中と、理事会・監事・内部監査が十分な牽制機能を果たさなかったことが問題となりました。

いわき信用組合は2026年6月の通常総代会で、理事長の在任期間を最大6年とすることを承認しました。

また、非常勤理事として警察OB、経営者・公認会計士を選任し、員外監事には公認会計士と検察OBの弁護士を招聘しています。

全国信用協同組合連合会からコンプライアンス担当の常勤理事も招聘しました。

内部監査については、営業店が監査時期を予測できないよう実施時期を変則化し、事務不備の発生状況に応じて監査頻度を変える方式へ見直しています。

今回の2,369万円の不適切支出自体も監事監査で発見されました。

「監査が不正を発見した」という点では改善の兆候と見ることもできますが、支出が2026年3月まで続いていたことを踏まえると、過去の取引を含めた全件点検をどこまで遡って実施できるかが今後の焦点になります。

職員25名を減給処分、筆跡確認シートも導入

いわき信用組合は、一連の不祥事への現職員の関与についても調査しています。

監査部とコンプライアンス統括部が、営業部店や本部の融資関連部署で管理職・担当者を経験した職員などを対象にヒアリングや書類調査を行いました。

その結果、何らかの形で不祥事に関与したことが確認された現職員25名を2026年4月に減給処分としています。

組合は、当時の旧経営陣から強い指示や圧力を受けていたことや、職員自身が見返りを受けていた事実は確認されていないことなどを考慮して処分内容を決めたと説明しています。

書類の代筆を防止するため、全役職員から漢字・ひらがな・カタカナ・数字を自署した「職員筆跡確認用シート」を取得し、営業店で照合できる仕組みも2026年7月に導入しました。

さらに、大口融資先への迂回融資を防ぐため、関連企業の認定基準を明確化し、グルーピング管理も見直しています。

今回の2,369万円が示すのは「過去の不正を止める」だけでは足りないこと

今回の事案は、金額だけを見れば過去の247億円規模の不正融資と比べて小さく見えます。

しかし、内部統制の観点では別の意味を持ちます。

問題が表面化し、第三者委員会調査、業務改善命令、経営陣刷新、追加の行政処分、全役職員研修まで行われた後にも、旧来の不適切な取引が2026年3月まで残っていたためです。

長期間にわたり組織的な不正が行われた組織では、経営陣を入れ替えたり規程を改定したりするだけで、すべての不正取引が自動的に止まるわけではありません。

過去の契約、定期的な支払い、取引先との慣行、会計処理、システム登録、担当者の業務手順などに、不正な仕組みが残っている可能性があります。

改善局面では、「新しい不正を防ぐ統制」と「旧体制から引き継いだ取引を洗い直す調査」を並行して進める必要があります。

内部監査・コンプライアンス部門への示唆

長期間にわたる組織的不正が発覚した場合、調査対象を発覚した手口だけに限定すると、別の勘定科目や取引形態に残った不正を見逃す可能性があります。

いわき信用組合では、無断借名融資や迂回融資が大きな問題として先に表面化しましたが、今回新たに見つかったのは「経費支出」という別の経路でした。

内部監査では、融資データだけでなく、経費、購買、業務委託、コンサルティング料、取引先への支払い、役職員や関連者への資金還流まで横断的に確認する必要があります。

また、定期的に同額・同種の支出が続いている取引について、「昔から行われている」「前任者から引き継いだ」という理由だけで正当性を前提にしないことも重要です。

発注書、納品記録、検収、請求書、支払い、実物の存在までを照合し、取引実態を確認する必要があります。

経営陣を刷新した後には、旧経営陣と関係の深かった取引先や例外的な処理について、リスクベースで再審査することも有効です。

今回、監事監査によって新たな不適切支出が発見されたことは、監査機能が不正を拾い上げる方向へ変わりつつあることを示す一方、業務改善期間中の2026年3月まで支出が残っていた事実もあります。

信頼回復には「新しい制度を作った」という説明だけではなく、その制度によって過去の不正がどれだけ発見され、是正されたかを継続的に公表することが求められます。

 

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