サイバー攻撃の事例|国内・海外の代表事例と被害・原因・対策

サイバー攻撃の事例

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サイバー攻撃の事例を解説

サイバー攻撃の事例を見ると、被害は個人情報漏えいだけではありません。

国内では、KADOKAWAへのランサムウェア攻撃によるニコニコなどのサービス停止、アサヒグループホールディングスの受注・出荷停止、ニチレイの冷蔵倉庫・冷凍食品出荷への影響など、サイバー攻撃が実際の事業活動を止めるケースが発生しています。

2026年には、タイムズカーで約660万アカウントの会員情報が第三者に取得され、このうち約160万件では運転免許証画像など本人確認書類の漏えいが確認されました。VOISINGではBIツールの既知脆弱性が悪用され、約17万件の個人情報が漏えいしています。

一方、攻撃の起点も変化しています。VPNなどの外部接続機器、SaaS、業務委託先、GitHubなどの開発基盤、BIツール、正規アカウントなど、自社のPCやサーバー以外から被害が始まるケースが増えています。

この記事では、「サイバー攻撃 事例」を調べる企業担当者向けに、国内外の代表的なサイバー攻撃を年別・攻撃手法別に整理し、それぞれの被害、原因、企業が見直したい対策をまとめます。

最新の事例を年単位で確認したい場合は、2026年のサイバー攻撃・情報漏洩事例で随時更新しています。

サイバー攻撃の代表事例一覧

まず、国内外の代表的なサイバー攻撃事例を一覧で整理します。

年 組織・事例 主な攻撃・原因 主な被害・影響 確認したい対策
2026 タイムズカー Webシステムへの不正アクセス 約660万アカウント、約160万件で本人確認書類漏えいを確認 データ保持期間、本人確認情報の保管
2026 VOISING BIツールの既知脆弱性悪用 約17万件の個人情報漏えい 脆弱性管理、外部公開停止、データ最小化
2026 デジタル庁GSS VPNの脆弱性悪用 約24.6万件の個人情報漏えいの可能性 VPN・境界機器、認証後の大量アクセス監視
2026 ニチレイ サーバーへのサイバー攻撃 冷蔵倉庫の入出庫・冷凍食品出荷に影響、後に一部個人情報漏えい確認 BCP、ネットワーク隔離、復旧計画
2025 アサヒグループHD サイバー攻撃、暗号化されたファイルを確認 国内の受注・出荷、コールセンター業務などが停止 ランサムウェア対策、基幹システムのBCP
2024 KADOKAWA ランサムウェアを含む大規模サイバー攻撃 ニコニコなどサービス停止、25万4,241人の個人情報漏えいを確認 ネットワーク分離、復旧、情報漏えい対応
2023 名古屋港 リモート接続機器の脆弱性を悪用したランサムウェア コンテナ搬出入が停止 VPN・リモート接続機器の脆弱性管理
2022 小島プレス工業 リモート接続機器からの侵入・マルウェア トヨタ国内工場などの生産に影響 サプライチェーン、外部接続、事業継続
2021 つるぎ町立半田病院 ランサムウェア 電子カルテが利用不能となり診療へ影響 VPN、医療BCP、バックアップ
2020 SolarWinds 正規ソフトウェア更新を悪用したサプライチェーン攻撃 米政府機関・企業へ侵入 ソフトウェアサプライチェーン管理
2017 WannaCry Windows SMBの脆弱性悪用 150か国以上、医療・製造等へ大規模影響 パッチ適用、ネットワーク分離
2017 NotPetya サプライチェーン経由のワイパー攻撃 世界的企業で業務停止・巨額損害 事業継続、ネットワーク分離、復旧
2010 Stuxnet 産業制御システムを狙ったマルウェア イラン核施設の遠心分離機へ物理的影響 OT・制御システムの分離と監視
1988 Morris Worm ネットワークサービスの脆弱性等を悪用する自己増殖型ワーム 当時のインターネット上の多数のコンピュータに障害 脆弱性管理、ネットワーク監視

最近の事例では、被害規模を「漏えい件数」だけで比較できません。

ニチレイやアサヒグループのように事業停止が主要な被害となるケース、名古屋港や小島プレス工業のように取引先・社会インフラへ影響が波及するケース、タイムズカーのように本人確認書類が漏えいするケースなど、企業への影響は異なります。

サイバー攻撃とは

サイバー攻撃とは、コンピュータ、ネットワーク、Webサービス、クラウド、アカウントなどを標的として、不正アクセス、情報窃取、改ざん、サービス停止、マルウェア感染などを行う悪意ある行為の総称です。

代表的な手口には、ランサムウェア、フィッシング、脆弱性悪用、DDoS、認証情報の窃取、サプライチェーン攻撃などがあります。

攻撃手法や種類そのものを確認したい場合は、サイバー攻撃とは?種類・目的・企業への影響と対策で整理しています。

本記事では定義よりも、実際に発生した「サイバー攻撃の事例」と、そこから企業が確認したい対策に重点を置きます。

2026年のサイバー攻撃事例―本人確認情報・BI・VPN・事業停止

2026年は、大量の個人情報を持つWebサービスだけでなく、VPN、BIツール、委託先、共通基盤などが攻撃の起点となる事例が目立っています。

タイムズカー―約660万アカウント、本人確認書類も漏えい

パーク24は2026年9月、タイムズカーのWebシステムへの不正アクセスにより、一部の会員情報が第三者に取得されたことを公表しました。

対象は約660万アカウントです。

さらに第3報では、約160万件で運転免許証画像、現住所確認書類画像、学生証画像、家族確認書類画像などの本人確認書類が漏えいしたことを確認しています。

対象には退会済み会員や入会手続き未完了者も含まれます。

この事例では、「現在利用中の顧客データを守る」だけでは足りません。

本人確認後も原本画像を保存し続ける必要があるのか、退会後のデータを何年間保持するのか、サービス利用終了時に何を削除するのかまで確認する必要があります。

詳細はタイムズカーへの不正アクセスで約660万件の個人情報漏えいの恐れで整理しています。

VOISING―BIツールの既知脆弱性を悪用

株式会社VOISINGでは、利用していたBIツールへの不正アクセスによって約17万件の個人情報が漏えいしました。

2026年9月30日の第四報で、原因はBIツールに存在していた既知の脆弱性の悪用だったことが判明しています。

修正プログラムを適用する前に攻撃を受け、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、購買履歴、決済金額記録、サービス加入状況などが漏えいしました。

同社は再発防止策として、社内ツールをインターネットへ直接公開しない構成への見直し、個人情報の仮名化・最小化、大量データ取得や不審な管理操作の検知などを進めています。

この事例から確認したいのは、パッチを「適用するか」だけではありません。

脆弱性情報の公開から本番環境への適用までに時間がかかる場合、公開停止、接続元制限、VPN経由への変更など暫定的な防御策を実行できるかがポイントになります。

詳細はVOISINGのBIツールへの不正アクセスで確認できます。

デジタル庁GSS―VPNの脆弱性を悪用

デジタル庁は2026年9月、ガバメントソリューションサービス(GSS)への不正アクセスについて、約24.6万件の個人情報を含むファイルが外部へ漏えいした可能性があると公表しました。

調査では、第三者がVPNの脆弱性を利用して侵入していたことが判明しています。

事案の発端は、保守運用担当者のアカウントを使って大量のファイルへアクセスする挙動を検知したことでした。

VPNやファイアウォールなどの境界機器では、脆弱性修正に加えて、

  • 外部公開されている機器の把握
  • 管理者・保守アカウントの監視
  • 認証後の大量アクセス検知
  • 不要アカウントの削除
  • ログ保存

まで含めて運用する必要があります。

詳細はデジタル庁GSSへの不正アクセスで整理しています。

ニチレイ―冷蔵倉庫・冷凍食品出荷に影響

ニチレイでは2026年7月13日にシステム障害が発生し、調査の結果、サーバーがサイバー攻撃を受けていたことを確認しました。

被害拡大防止のためシステムを遮断したことで、グループの冷蔵倉庫の入出庫業務、冷凍食品の出荷業務などに影響しました。

7月24日には全拠点で通常稼働へ移行しましたが、その後の調査で、攻撃を受けたサーバーの一部に保管されていた個人情報の漏えいも確認されています。

この事例では、情報漏えい対策と同時にBCPが問われています。

ネットワークを止めた場合に、

  • 倉庫業務をどう継続するか
  • 受発注を代替手段へ切り替えられるか
  • 取引先への連絡をどう行うか
  • 復旧する業務の優先順位を誰が決めるか

を事前に決めておく必要があります。

2026年のほかの事例は2026年のサイバー攻撃・情報漏洩事例で随時更新しています。

2025年のサイバー攻撃事例―基幹システム停止が経営へ直結

2025年の代表例がアサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃です。

2025年9月29日にサイバー攻撃によるシステム障害が発生し、国内グループ各社の受注・出荷業務やコールセンター業務などが停止しました。

その後の調査では、暗号化されたファイルが確認され、情報漏えいに関する調査も進められました。

この事例では、サイバー攻撃が情報システム部門だけの問題ではなく、

  • 受注
  • 出荷
  • 生産
  • 顧客対応
  • 決算・財務

へ波及する経営リスクであることが明確になりました。

システムを復旧するだけではなく、攻撃を受けた状態でどこまで業務を継続できるかをBCP・事業継続計画に組み込む必要があります。

2025年の事例は2025年のサイバー攻撃の事例で整理しています。

2024年のサイバー攻撃事例―KADOKAWA・ニコニコの長期停止

2024年の国内事例では、KADOKAWAグループへのランサムウェア攻撃が大きな影響を与えました。

2024年6月8日、KADOKAWAグループの複数サーバーにアクセスできない障害が発生し、その後、ニコニコを中心とするサービス群を標的としたランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃であることが確認されました。

KADOKAWAは2024年8月、外部漏えいを確認した個人情報が25万4,241人分に上ると公表しています。

攻撃の影響はニコニコなどのサービスだけでなく、出版、社内業務、教育関連など複数の事業へ広がりました。

ランサムウェア対策では、バックアップを取得しているだけでは不十分です。

  • 攻撃者から隔離したバックアップがあるか
  • ネットワークを分離できるか
  • 認証基盤を侵害された場合に管理権限を再構築できるか
  • 復旧時に安全性を検証できるか

まで確認する必要があります。

詳細はニコニコ動画やKADOKAWAへのサイバー攻撃のまとめで整理しています。

2024年全体の事例は2024年のサイバー攻撃の事例で確認できます。

2023年のサイバー攻撃事例―名古屋港でコンテナ搬出入が停止

2023年7月、名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)がランサムウェア攻撃を受け、コンテナの搬出入が停止しました。

調査では、リモート接続機器の脆弱性を悪用した不正アクセスが原因と考えられることが公表されています。

港湾システムが停止すると、被害はサーバーの復旧作業だけでは終わりません。

物流事業者、荷主、製造業など、港を利用する企業のサプライチェーンへ影響が広がります。

この事例は、

「VPNやリモート接続機器の脆弱性」
↓
「ランサムウェアによるシステム停止」
↓
「物流停止」
↓
「取引先へ波及」

という連鎖を具体的に示しています。

2023年のほかの事例は2023年のサイバー攻撃の事例で確認できます。

2022年のサイバー攻撃事例―取引先1社の侵害で自動車生産が停止

2022年には、トヨタ自動車の主要取引先である小島プレス工業がサイバー攻撃を受けました。

同社のシステム停止を受け、トヨタ自動車は国内工場の稼働を一時停止しています。

サイバー攻撃を受けた企業が大企業でなくても、重要部品、物流、IT、決済などを担っていれば、取引先の事業まで止める可能性があります。

サプライチェーン対策では、取引先へセキュリティチェックシートを送るだけでなく、

  • どの取引先が止まると自社業務が止まるか
  • 代替取引先を確保できるか
  • 障害時の連絡手順があるか
  • 自社と取引先の接続経路を把握しているか

まで確認する必要があります。

2022年の事例は2022年のサイバー攻撃の事例で整理しています。

2021年以前の有名なサイバー攻撃事例

現在の企業セキュリティに大きな影響を与えた事例は、2020年代以前にも多数あります。

SolarWinds―正規アップデートが攻撃経路に

2020年に発覚したSolarWindsへの攻撃では、IT監視ソフト「Orion」の正規アップデートへ不正なコードが組み込まれ、多数の組織へ配布されました。

利用企業自身が直接攻撃されなくても、信頼して導入しているソフトウェアの更新機能が攻撃経路になることを示した代表的なサプライチェーン攻撃です。

ソフトウェア選定では、製品の脆弱性だけでなく、

  • 開発元のセキュリティ
  • アップデート配布経路
  • 署名・検証
  • SBOM
  • インシデント時の通知

も確認対象になります。

WannaCry・NotPetya―脆弱性とネットワーク接続が世界規模の障害へ

2017年のWannaCryはWindows SMBの脆弱性を悪用して世界的に拡散し、医療機関、企業、行政機関などへ影響しました。

同じ2017年のNotPetyaは、表面上はランサムウェアに見えるものの、実際には復旧を困難にするワイパー型攻撃として世界中の企業へ大きな損害を与えました。

両事例から確認できるのは、既知脆弱性への対応とネットワーク分離です。

パッチが公開されていても適用されていなければ攻撃対象になります。

また、1台の端末や1拠点が侵害された際にネットワーク全体へ広がらない構成も必要です。

Stuxnet―サイバー攻撃が物理設備へ影響

2010年に発見されたStuxnetは、産業用制御システムを標的としたマルウェアとして知られています。

サイバー攻撃が情報窃取やPC停止だけでなく、物理設備の制御へ影響を与えることを示しました。

現在では製造業、エネルギー、交通、ビル設備などでOT・制御システムがネットワークへ接続されています。

IPAも制御システム関連のサイバーインシデント事例を継続的に公開しています。

ITネットワークとOTネットワークの接続点、保守用アカウント、リモート接続、監視ログを把握する必要があります。

Morris Worm―インターネット初期の大規模ワーム

1988年のMorris Wormは、初期のインターネットで多数のコンピュータへ拡散した代表的なワームです。

現在のランサムウェアやワームとは目的も環境も異なりますが、ネットワーク上の弱点を自動的に探索し、短時間で多数のシステムへ広がるという基本構造は現在も残っています。

年別に見る大型インシデントと脆弱性・攻撃面

年ごとの代表的な事例を並べると、攻撃対象の変化が見えます。

年 代表的な国内・海外事例 問題となった脆弱性・攻撃面 企業が確認したいこと
2026 タイムズカー、VOISING、デジタル庁GSS、ニチレイ Webシステム、BI、VPN、外部公開資産 データ保持、パッチSLA、ASM、BCP
2025 アサヒグループHDなど ランサムウェア、基幹システム ネットワーク分離、復旧、事業継続
2024 KADOKAWA ランサムウェア、認証・ネットワーク バックアップ、認証再構築、復旧
2023 名古屋港、MOVEit関連攻撃 VPN・リモート接続、ファイル転送製品 境界機器、ゼロデイ対応、委託先
2022 小島プレス工業など リモート接続機器、サプライチェーン 外部接続、取引先BCP
2021 つるぎ町立半田病院、Colonial Pipeline、Log4Shell VPN、認証情報、OSS脆弱性 MFA、資産管理、緊急パッチ
2020 SolarWinds ソフトウェアサプライチェーン ソフトウェア更新、委託先管理
2017 WannaCry、NotPetya、Equifax SMB、Apache Strutsなどの既知脆弱性 パッチ適用、ネットワーク分離
2010 Stuxnet 制御システム・PLC IT/OT分離、保守経路
1988 Morris Worm ネットワークサービス 脆弱性管理、監視

この表は「その年に最も多かった攻撃」を示すものではなく、企業セキュリティの考え方を変えた代表事例を整理したものです。

攻撃手法別に見るサイバー攻撃の事例

ランサムウェア

ランサムウェアでは、ファイル暗号化だけでなく、データ窃取、公開を組み合わせる二重恐喝が一般化しています。

国内ではKADOKAWA、名古屋港、医療機関、製造業など幅広い組織で業務停止を伴う被害が発生しています。

最新のランサムウェア被害はランサムウェア被害の事例で継続的に整理しています。

脆弱性悪用

サイバー攻撃の事例では、VPN、Webアプリ、ファイル転送製品、BI、CMSなどの既知・未知の脆弱性が侵入経路になります。

2026年のVOISINGではBIツールの既知脆弱性、デジタル庁GSSではVPNの脆弱性が問題になりました。

対策では、

  • 資産台帳
  • 外部公開資産の把握
  • ベンダーアドバイザリ
  • CISA KEVなど実悪用情報
  • パッチ適用期限
  • 暫定回避策

を組み合わせます。

サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃は、委託先、取引先、ソフトウェア、SaaS、OSSなど、自社以外の組織・サービスを経由して被害が発生する攻撃です。

SolarWinds、Kaseya、MOVEitのほか、国内でも委託先や共通サービスの侵害によって複数組織へ影響が波及するケースがあります。

委託先管理では、委託先のセキュリティ管理で、選定・契約・監督・再委託・契約終了時まで確認する必要があります。

フィッシング・BEC

脆弱性を悪用しなくても、メールやチャットで経営者、取引先、金融機関などになりすますことで大きな被害が発生します。

BECでは送金指示そのものを偽装するため、EDRやアンチウイルスだけでは防げません。

送金先の変更、高額送金、緊急送金などは、メール・チャットとは別経路で本人確認する運用が必要です。

アカウント乗っ取り

正規のID・パスワードやセッションが攻撃者に利用されると、ログイン自体は正常に見える場合があります。

MFAを導入するだけでなく、

  • 新しい端末からのアクセス
  • 通常と異なる地域
  • 短時間の大量データ取得
  • 権限変更
  • APIキー作成
  • 不審な転送ルール

など、認証後の行動を監視します。

生成AIを悪用した攻撃

生成AIはフィッシング文面の作成、マルウェア開発の支援、情報収集、ディープフェイクなどへ悪用されています。

一方、「AIを使った」というだけで新しい攻撃手法になるわけではありません。

最終的な侵入経路はフィッシング、認証情報窃取、脆弱性悪用など既存の手法と組み合わされるケースが多いため、基礎的なセキュリティ対策を維持したうえで、AIによる攻撃の量・精度・速度の変化を監視します。

生成AIの悪用事例はトレンドマイクロへのインタビューでも整理しています。

サイバー攻撃の事例から分かる主な被害

サイバー攻撃による被害は、大きく次のように分けられます。

被害 事例 企業への影響
個人情報・機密情報の漏えい タイムズカー、KADOKAWA、VOISING 本人通知、個人情報保護委員会対応、信用低下
業務・サービス停止 アサヒ、ニチレイ、名古屋港 売上減、取引先影響、代替運用
金銭被害 BEC、不正送金 直接的な資金流出
認証情報漏えい メール・管理画面・API等 二次的な不正ログイン・横展開
サプライチェーンへの波及 SolarWinds、小島プレス工業 顧客・取引先・利用企業へ連鎖
データ改ざん・完全性侵害 業務システム・制御システムへの攻撃 誤処理、サービス品質低下、物理影響
復旧・調査コスト ランサムウェア等 フォレンジック、再構築、広報、法務

企業が経営層へサイバーリスクを説明する場合、「何件漏えいするか」だけでなく、事業停止、取引先への影響、復旧期間、法的対応、売上・利益への影響を含めて評価する必要があります。

IPAも、他社のサイバー攻撃被害事例を収集し、自社で同様の被害が発生する可能性や追加対策の要否を経営層へ報告する方法を紹介しています。

サイバー攻撃の事例から企業が見直したい対策

外部公開資産と脆弱性を把握する

VPN、ファイアウォール、Webアプリ、CMS、BI、GitLab、ファイル転送製品など、インターネットから到達できるシステムを一覧化します。

脆弱性が公表された後に「自社で使っているか」を調べ始める状態では対応が遅れます。

資産台帳とASMを使い、製品名、バージョン、公開範囲、管理責任者を把握します。

緊急パッチと暫定対策の基準を決める

すべてのパッチを即日適用できる企業は多くありません。

そのため、

  • 実悪用が確認された
  • CISA KEVに追加された
  • インターネット公開されている
  • 認証不要で悪用できる
  • 個人情報や管理権限へ到達できる

などの条件で緊急対応を判断します。

パッチ適用が間に合わない場合は、外部公開停止、接続元制限、機能停止などを行います。

認証情報の侵害を前提に監視する

パスワードとMFAだけでは、盗まれたセッションや正規アカウントの悪用を完全には防げません。

ログイン後の大量取得、権限変更、新規APIキー、管理者追加、異常な転送などを検知できる状態にします。

ネットワークを分離する

ランサムウェアやワームでは、一つの侵入口から他のサーバー・端末へ横展開されることがあります。

OA、サーバー、バックアップ、OT、拠点間ネットワークなどを分離し、必要な通信だけを許可します。

バックアップだけでなく復旧手順を確認する

バックアップが存在していても、

  • 攻撃者から到達できる
  • バックアップも暗号化される
  • 復旧に長時間かかる
  • 認証基盤が利用できない

場合があります。

定期的な復元テストと、優先して復旧する業務・システムを決めておきます。

SaaS・委託先にあるデータを把握する

サイバー攻撃は自社システムだけで起きるとは限りません。

委託先、SaaS、開発会社、クラウド事業者へ、

  • どの情報を渡しているか
  • どの期間保存しているか
  • 再委託先はどこか
  • インシデント時に何時間以内に通知されるか
  • 契約終了後に削除されるか

を確認します。

不要なデータを持ち続けない

タイムズカーの事例では、退会済み利用者や入会未完了者も影響範囲に含まれました。

侵入を100%防ぐことができなくても、保持するデータを減らせば漏えい時の被害規模を抑えられます。

本人確認書類、過去顧客、古いバックアップ、移行用CSVなどの保存期限を定めます。

インシデント対応を机上で確認する

実際にサイバー攻撃が発生すると、情シスだけでなく、

  • 経営
  • 法務
  • 広報
  • 顧客対応
  • 営業
  • 事業部
  • 委託先

が同時に対応します。

ネットワーク遮断、サービス停止、公表、個人情報保護委員会への報告、顧客通知、復旧優先順位などを事前に決め、机上演習で確認します。

年別のサイバー攻撃事例

特定の年に発生した事例を詳しく確認したい場合は、年別ページを参照してください。

このページは特定年のニュース一覧ではなく、代表的なサイバー攻撃事例と、事例から企業が確認すべき対策を整理する恒常ページとして更新します。

よくある質問

日本国内の代表的なサイバー攻撃の事例は?

近年ではKADOKAWA、アサヒグループホールディングス、ニチレイ、名古屋港などで、サイバー攻撃によるサービス停止・業務停止が発生しています。

また、タイムズカーやVOISINGでは大規模な個人情報漏えいも確認されています。

サイバー攻撃で最も多い被害は情報漏えいですか?

情報漏えいは主要な被害の一つですが、それだけではありません。

システム停止、商品出荷停止、物流停止、不正送金、アカウント乗っ取り、データ改ざんなども発生しています。

企業では「個人情報漏えい件数」だけではなく、事業継続への影響も評価する必要があります。

サイバー攻撃の主な侵入経路は?

事例では、VPNなど外部接続機器の脆弱性、Webアプリやソフトウェアの脆弱性、フィッシング、認証情報の窃取、委託先・SaaS・ソフトウェアサプライチェーンなどが確認されています。

一つの対策だけですべての侵入経路を防ぐことはできません。

過去のサイバー攻撃事例を調べる意味は?

IPAは、他社の被害事例を収集し、同様の被害が自社で発生する可能性を分析して、追加対策の要否を経営層へ報告する方法を紹介しています。

事例を「ニュース」として読むだけではなく、

「同じ侵入経路が自社にあるか」
「同じシステムが止まったら何が停止するか」
「同じ情報を自社も保有しているか」

へ置き換えることで、具体的なセキュリティ対策につなげられます。

まとめ

「サイバー攻撃 事例」を確認すると、時代によって使われる技術は変化していても、繰り返されている問題があります。

既知脆弱性への対応遅れ、外部接続機器、認証情報の侵害、委託先・サプライチェーン、ネットワークの横展開、不要データの長期保管、インシデント発生時の業務継続です。

他社事例を確認する際は、企業名や漏えい件数だけを見るのではなく、

「どこから侵入されたか」
「なぜ被害が広がったか」
「どの業務が止まったか」
「自社にも同じ条件がないか」

まで確認することで、自社の対策へつなげられます。

出典