ISMSコンサル|認証取得支援・費用・選び方・運用まとめ

投稿日時: 更新日時:

ISMSコンサルは、ISO/IEC 27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築や認証取得、取得後の維持・改善を支援するサービスです。

認証取得では、規程を作成して審査を受けるだけではなく、適用範囲の決定、情報資産の整理、リスクアセスメント、管理策の選定、適用宣言書の作成、教育、内部監査、マネジメントレビュー、審査対応など複数の作業が発生します。

セキュリティ対策LabのISMS認証取得までの流れを解説した記事では、認証取得希望日から逆算して6か月から1年程度で計画を組むことが多いと整理しています。プロジェクト立ち上げ、情報セキュリティ体制の構築、審査対応まで部門横断で進める必要があり、社内に経験者がいない場合は担当者の負担も大きくなります。

一方、ISMSコンサルへ依頼すればすべてを外部へ任せられるわけではありません。セキュリティ対策Labで公開しているISMS認証取得コンサルの費用・支援形態の記事でも、コンサルの支援方法を複数のパターンに分けたうえで、取得後に自社で運用する場合は、自社側も実際に手を動かしながら仕組みを理解することが重要だとしています。

このページでは、セキュリティ対策Labでこれまで公開してきたISMS関連記事、100社以上のISMS体制構築・情報セキュリティコンサルティング支援経験を持つ専門家の解説、ISMSコンサル会社との共催セミナー、取得後の運用改善資料などをもとに、ISMSコンサルの支援内容、費用、選び方、取得後の運用までまとめて紹介します。

ISMSコンサルとは

ISMSコンサルとは、ISMS認証を新規取得する企業や、取得後の維持・更新、運用改善を行う企業に対して、ISO/IEC 27001の要求事項を実際の業務へ落とし込むための支援を行うサービスです。

ISMSそのものは、組織が情報セキュリティリスクを継続的に管理するための仕組みです。セキュリティ対策LabのISMSとは何かを解説した記事では、情報資産を把握し、リスクを特定・管理したうえで、計画・運用・評価・改善を継続することが重要だと整理しています。

コンサル会社によって支援範囲は異なりますが、主な支援内容は次のように整理できます。

支援領域 主な内容
プロジェクト設計 取得目的、対象範囲、体制、スケジュールの整理
現状確認 現在の規程・運用とISMS要求事項との差分確認
リスクアセスメント 情報資産、脅威、脆弱性、影響を整理してリスクを評価
規程・文書整備 方針、規程、手順、台帳、記録様式などの作成・見直し
適用宣言書 管理策の採否、理由、実施状況の整理
教育 従業員・管理者へのISMS、情報セキュリティ教育
内部監査 監査計画、チェック項目、監査、指摘・是正の整理
マネジメントレビュー 経営層へ報告する情報、改善事項の整理
認証審査対応 第一段階・第二段階審査に向けた準備、是正支援
維持・更新 維持審査、再認証審査、規程やリスク評価の更新
運用改善 証跡管理、是正管理、属人化、役割分担の見直し

ISMSコンサルを利用する企業が抱えやすい課題

ISMS認証を初めて取得する企業では、「規格が難しい」という問題だけでなく、期限、社内体制、適用範囲、審査準備など複数の課題が重なります。

セキュリティ対策LabのISMSコンサルの費用・支援形態の記事では、取得企業が直面しやすい課題として、取得期限が決まっているものの何から始めればよいか分からない、規格や専門用語が難しい、どこまで準備すればよいか判断しにくい、といった点を挙げています。

また、ISMS認証取得を外部へ依頼する際のポイントでは、自社だけで進める場合には専門知識と工数が必要となり、外部支援を利用する場合でも、選び方によってはコスト増加やプロジェクト遅延につながる可能性があると整理しています。

企業の状況 起こりやすい課題 コンサルに期待できる支援
初めてISMSを取得する 何から着手すればよいか分からない 全体計画、要求事項の整理、文書・運用設計
取引条件などで取得期限がある プロジェクトが遅延しやすい ロードマップ、進捗管理、優先順位付け
ISMS経験者がいない 規格解釈や審査準備で手戻り レビュー、判断材料、審査準備
部門・拠点が多い 適用範囲や責任分担が複雑 スコープ、役割、ガバナンス設計
SaaS・クラウド利用が多い 資産・委託先・権限管理が複雑 リスク評価、管理策、証跡整理
すでに認証を取得している 運用が形骸化・属人化 内部監査、是正管理、運用改善
審査直前に作業が集中する 記録回収・更新が負担になる 証跡整理、年間運用の設計

ISMS認証取得までにコンサルが支援する主な業務

取得目的・適用範囲・体制を整理する

ISMS認証取得では、まず「なぜ取得するのか」「どの業務・部門・拠点を認証範囲に含めるのか」を整理します。

ISMS認証取得までの流れでは、プロジェクト立ち上げ時に責任者、推進者、各部門の担当者を決め、認証取得希望日から逆算してスケジュールを策定する必要があると解説しています。

適用範囲を小さくすれば単純に取得しやすくなるとは限りません。対象とするサービス、部門、拠点、システム、委託先との関係を踏まえて、認証取得の目的と矛盾しない範囲を設定する必要があります。

リスクアセスメントを実施する

ISMSでは、自社が管理する情報資産を把握し、情報セキュリティ上のリスクを評価します。

リスク評価の進め方そのものはコンサルが支援できますが、「どの情報が事業上重要なのか」「停止した場合にどの程度影響するのか」といった判断には、自社の業務を理解する担当者の参加が必要です。

コンサルに作業を依頼する場合でも、評価基準やリスク受容の判断まで外部任せにしないことが重要です。

適用宣言書を作成する

ISMS認証では、リスクアセスメントやリスク対応の結果を踏まえ、どの管理策を採用するかを適用宣言書に整理します。

セキュリティ対策LabのISMSの適用宣言書を解説した記事では、ISO/IEC 27001:2022の附属書Aにある93の管理策について、適用・非適用の判断、その理由、実施状況などを整理する役割を紹介しています。

また、同記事では実際に適用宣言書を公開している企業の事例も確認し、管理策と関連文書を紐づける方法など、具体的な整理方法を紹介しています。

規程・手順・記録を整備する

コンサル支援では、情報セキュリティ方針、アクセス管理、委託先管理、インシデント対応、教育などに関する規程・手順の整備を支援することがあります。

ただし、審査のためだけに大量の規程を作ると、取得後に現場と文書の乖離が起きやすくなります。

既存の社内規程や承認フローを確認し、実際に運用できる範囲でISMSへ組み込むことが重要です。

内部監査とマネジメントレビューを行う

ISMSの内部監査は、決めたルールが実施されているかを確認するだけではなく、仕組みを改善するための活動です。

セキュリティ対策LabのISMS内部監査の解説記事では、内部監査を「形だけの行事」にせず、仕組みの改善やリスクに強い体制づくりへつなげることを重要なポイントとして紹介しています。

また、LRM株式会社の情報セキュリティコンサルタントを講師として開催したISMS内部監査セミナーでも、監査の目的、手順、記録、改善指摘などを実務の観点から扱っています。

認証審査へ対応する

ISMS認証取得までの流れでは、認証審査を第一段階と第二段階に分けて解説しています。

第一段階では、適用範囲、リスクアセスメント、規程、手順、記録類などを中心に確認します。第二段階では、文書どおりに運用されているか、教育や委託先管理、内部監査、マネジメントレビューなどが実施されているか、現場のヒアリングや記録確認を通じて確認されます。

ISMSコンサルは審査前レビューや指摘事項への対応を支援できますが、実際の運用は自社で行う必要があります。

ISMSコンサルの支援方法は4つに分けて考える

セキュリティ対策Labでは、ISMS認証取得コンサルの支援形態を大きく4つに整理しています。

支援形態 特徴 向いている企業
フルサポート 文書作成、リスク評価、内部監査、審査対応まで広く支援 社内に経験者がおらず、作業負荷も減らしたい
アドバイザリー+一部代行 自社主導で進め、必要な部分を支援 将来的に内製化したい
テンプレート+最小限の助言 基本作業は自社、必要最低限の支援 ISMS経験者が社内にいる
クラウドサービスによる自走 ツール上で文書・タスク・リスク等を管理 自社で主体的に運用できる

この分類は、100社以上のISMS体制構築・情報セキュリティコンサルティング支援経験を持つ執筆者が、ISMS認証取得コンサルの費用と特徴で解説しています。

同記事では「コンサル=全部やってくれる人」ではないことを前提に、社内の経験、取得期限、取得後に内製化するかどうかを踏まえて支援方法を選ぶことを勧めています。

ISMSコンサルの費用は支援範囲で変わる

ISMSコンサルの費用は、従業員数だけで決まるわけではありません。

認証範囲、拠点数、支援範囲、既存規程の整備状況、取得期限などによって必要な工数が変わります。

セキュリティ対策LabのISMSコンサル費用の記事では、支援方法ごとの費用目安も紹介していますが、同時に「価格だけで支援先を決めない」ことを重要な注意点として挙げています。

特に確認したいのは、見積金額そのものより「何が含まれているか」です。

費用に影響する要素 確認する内容
認証範囲 全社か、一部サービス・部門か
拠点数 単一拠点か、複数拠点か
部門数 ヒアリングや内部監査の対象がどの程度あるか
支援範囲 助言のみか、文書・監査・審査対応まで含むか
既存規程 現在の文書・運用をどこまで流用できるか
取得期限 短期間で取得する必要があるか
取得後支援 維持審査や再認証、運用支援まで含むか

具体的な費用目安を確認したい場合は、ISMS認証取得コンサルの費用はどれくらい?コンサルの特徴と相場を解説をご覧ください。

セキュリティ対策Labの取材・セミナーから見るISMSコンサル会社の選び方

ISMSコンサル会社を比較する場合、Webサイトに書かれている「取得実績」や価格だけでは、実際の支援方法までは分かりません。

セキュリティ対策Labでは、ISMS・ISO27001認証取得支援を行うLRM株式会社と、失敗しないISMS取得 コンサル会社の選び方をテーマにセミナーを実施しています。

同セミナーでは、ISMSの基礎だけでなく、取得までのロードマップ、コンサル会社の選定プロセス、コンサル会社選びの失敗事例と対策まで扱っています。セミナー開催時にLRM株式会社が公表していた年間580社・18年の支援実績を背景にした内容です。

このセミナーやサイト内のISMS関連記事を踏まえると、コンサル選定では少なくとも次の点を確認したいところです。

自社と近い企業への支援経験があるか

「ISMS支援○社」という数字だけでなく、自社に近い業種、従業員規模、拠点数、認証範囲への支援経験を確認します。

数十人の単一拠点企業と、複数部門・複数拠点を持つ企業では、適用範囲、教育、内部監査、責任分担の設計が異なります。

実際の担当者と支援範囲を確認する

契約する会社全体の実績だけでなく、実際に担当するコンサルタントとの定例会頻度、質問への回答方法、文書レビュー、内部監査、審査前レビューなどを確認します。

取得後に自社で運用できるか

セキュリティ対策LabのISMSコンサル費用記事では、取得後に内製化する予定であれば、構築時から自社でも手を動かした方がよいとしています。

フルサポートで短期間に認証を取得できても、その後に「何をどう更新すればよいか分からない」状態になれば、維持審査前に作業が集中します。

ISMS取得後に運用が回らなくなる5つの理由

ISMSコンサル選びでは、認証取得までの支援内容だけではなく、取得後の運用まで確認しておくことが重要です。

セキュリティ対策LabとSecureNavi株式会社が企画したISMS運用が回らない5つの理由|形骸化・属人化を見直す改善策では、取得後に運用が止まりやすい要因を5つに整理しています。

  1. 適用範囲の変化に見直しが追いつかない
  2. 特定担当者へ運用が依存する
  3. 証跡がメールや個人フォルダへ分散する
  4. 内部監査の是正処置が途中で止まる
  5. 実施の有無だけを確認し、有効性を評価できていない

これは新規取得時のコンサル選定にもそのまま使えます。

例えば契約前に、

  • 取得後に誰が年間タスクを管理するのか
  • 組織変更や新規SaaS導入をどうリスク評価へ反映するのか
  • 証跡の保管場所をどう統一するのか
  • 内部監査の是正処置を誰が追跡するのか
  • ISMSの有効性を何で測るのか

まで確認しておけば、認証取得だけに最適化された支援か、継続運用まで考えられた支援かを判断しやすくなります。

多拠点・多部門の企業はISMSのガバナンス設計まで確認する

部門や拠点が多い企業では、ISMSの難しさが文書作成から「全体を同じ基準で運用すること」へ変わります。

セキュリティ対策LabとSecureNavi株式会社の多拠点管理とISMSガバナンスの資料では、本社ですべてを判断すると意思決定が集中し、拠点へ任せきると管理水準がばらつくという課題を取り上げています。

同資料では、

  • 本社と拠点の役割・権限
  • 全社共通基準と拠点裁量の切り分け
  • 規程・手順書の管理
  • 拠点間の比較指標
  • リスクに応じた内部監査計画

などを整理しています。

複数拠点・複数部門を認証範囲へ含める場合は、コンサル会社に「認証取得経験があるか」だけを聞くのではなく、拠点ごとの責任分担や内部監査まで設計できるか確認するとよいでしょう。

ISMSコンサルでも外部へ任せきれないこと

ISMSコンサルは専門知識やプロジェクト推進を補完できますが、ISMSそのものの責任主体は認証を取得する組織です。

リスクを受容するかどうかの判断

コンサルはリスク評価や対策候補を整理できますが、どのリスクを受容するか、どこへ投資するかは自社の意思決定です。

経営層の関与

情報セキュリティ方針や必要な資源の確保、改善の判断には経営層の関与が必要です。

現場での運用

アクセス権限の申請、委託先評価、情報資産の棚卸し、教育、インシデント報告などは、実際の業務として自社で継続します。

取得後の改善

新しいクラウドサービスの導入、拠点追加、組織改編、M&Aなどで環境が変化すれば、適用範囲やリスク評価、管理策も見直す必要があります。

ISMS認証は取得後も維持・更新が必要

ISMS認証は取得すれば終了する制度ではありません。

セキュリティ対策LabのISMS認証の維持・更新を解説した記事では、取得後に維持審査を受け、3年の認証サイクルで再認証審査を受けながら運用を継続する流れを解説しています。

そのため、ISMSコンサルを選ぶ際は、新規取得だけではなく、

  • 維持審査前の支援
  • リスクアセスメント更新
  • 内部監査
  • マネジメントレビュー
  • 是正処置
  • 再認証審査
  • 規程・台帳の更新

など、取得後にどこまで支援を利用するかも検討しておくとよいでしょう。

ISMSとISMSクラウドセキュリティ認証は分けて考える

クラウドサービスを提供・利用する企業では、通常のISMS認証に加え、ISMSクラウドセキュリティ認証を検討する場合があります。

セキュリティ対策LabのISMSクラウドセキュリティ認証とは何かを解説した記事では、ISMS認証をベースにISO/IEC 27017のクラウド特有の管理策を追加するAdd-on認証として整理しています。

また、ISMSクラウドセキュリティ認証の取得メリット・デメリットや、認証取得までの流れも公開しています。

通常のISMS取得支援とクラウドセキュリティ認証の支援では必要な知識が異なるため、両方を検討する場合はコンサル会社の支援範囲を確認してください。

ISMSとPマークのどちらを取得するか迷う場合

ISMSとPマークは対象とする目的が同じではありません。

ISMSとPマークの違いでは、Pマークが個人情報保護を中心とする制度であるのに対し、ISMSは個人情報だけではなく組織の情報資産全体を対象とする考え方を解説しています。

顧客や取引先から指定されている認証がある場合はその要件を優先し、そうでない場合は自社が何を対外的に示したいのかを踏まえて選択します。

ISMSコンサルに関するよくある質問

ISMSコンサルを利用すれば必ず認証を取得できますか

コンサルはプロジェクト設計、規程整備、リスクアセスメント、内部監査、審査準備などを支援できますが、認証の可否は認証機関による審査で決まります。

自社側でも実際の運用を行い、審査で確認できる状態にする必要があります。

ISMSコンサルへすべて丸投げできますか

支援会社によっては文書作成などを広く代行しますが、経営判断、リスク受容、現場でのルール運用まで完全に外部へ任せることはできません。

取得後に内製化したい場合は、構築段階から自社担当者も作業へ参加する方が運用を引き継ぎやすくなります。

ISMSコンサルはどのタイミングで依頼すべきですか

「取引条件として取得期限が決まった」「社内に経験者がいない」「自力で開始したが進まない」といった新規取得時だけではなく、内部監査が形骸化している、更新前に作業が集中するといった取得後の課題でも利用できます。

ISMSコンサル会社を価格だけで比較してよいですか

同じ「ISMS取得支援」でも、テンプレート提供、定例アドバイス、文書作成、内部監査、審査準備など支援範囲が異なります。

価格と合わせて、何が契約範囲に含まれているか、自社側にどの作業が残るかを確認してください。

ISMS取得に必要な期間はどれくらいですか

セキュリティ対策LabのISMS認証取得までの流れでは、認証取得したい日から逆算して6か月から1年程度で計画を組むことが多いとしています。

組織規模、認証範囲、既存ルール、審査時期などで変わるため、期限が決まっている場合は早い段階で計画を作成します。

ISMSコンサルに関する関連記事

ISMSに関するお役立ち資料・セミナー

ISMSコンサルは「認証取得後に運用できるか」まで比較する

ISMSコンサルを利用する目的は、単に文書を作成してもらうことではありません。

認証取得までに必要な作業を整理し、自社の事業や組織に合ったISMSを構築し、取得後も継続して改善できる状態を作ることが重要です。

セキュリティ対策Labで公開しているISMSコンサル、内部監査、維持更新、多拠点運用の記事・資料を横断して見ると、共通するポイントは「取得そのもの」と「取得後の運用」を分けないことです。

コンサル会社を比較する際は、

どこまで支援してもらうか → 自社で何を担当するか → 認証取得後に誰が継続運用するか

まで確認するとよいでしょう。

特に部門・拠点が多い企業では、認証取得そのものよりも、取得後に各部門から情報を集め、内部監査と是正処置を継続し、組織変更や新規システムをリスク評価へ反映できる仕組みを設計できるかが重要になります。