X(旧Twitter)は2026年10月14日(米国時間)、11月の米中間選挙を前に、米国の政治的な議論を標的とした外国の影響工作が疑われる3つの活動を検知し、関連する1万3,000超のアカウントを凍結したと発表しました。Xはイラン、ロシア、中国との関連を指摘しています。対象のアカウント群は、実態を偽ったアカウントを使って米国の政治に関する投稿を発信・増幅し、さまざまな政治的立場の候補者や著名人を標的にしていたとしています。
今回の発表は、外国政府による直接の運営や、選挙結果への影響が立証されたことを意味するものではありません。Xは3つの活動を「疑われる外国影響工作」と位置付けています。
Xが公表した外国影響工作とアカウント凍結のサマリー
- XのGlobal Government Affairsが2026年10月14日(米国時間)に対策状況を公表しました。
- イラン、ロシア、中国との関連が疑われる3つの外国影響工作を検知したとしています。
- 対象として凍結したアカウントは3つの活動を合わせて1万3,000超です。
- 不正なアカウントは、米国政治に関する投稿や拡散を通じて政治的な議論に介入していたと説明しています。
- 対象は特定の政治陣営に限らず、異なる立場の候補者や著名人に及んでいたとしています。
- Xは、日常的な監視に加え、独自調査によって組織的な不正活動を検知したと説明しました。
- 選挙関連の偽情報対策として、Authenticity PolicyとCivic Integrity Policyを運用しています。
- 国別の凍結件数や、各活動の具体的な運営者、閲覧規模、投票行動への影響については、今回の投稿では示していません。
| 項目 | Xの公表内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年10月14日(米国時間、日本時間15日) |
| 発表元 | X Global Government Affairs |
| 対象 | 2026年米中間選挙に関連する米国政治の議論 |
| 検知した活動 | 外国影響工作が疑われる3件 |
| 関連が指摘された国 | イラン、ロシア、中国 |
| 凍結したアカウント | 合計1万3,000超 |
| 主な手口 | 偽装アカウントによる政治関連投稿と組織的な増幅 |
| 対応 | 対象アカウントの凍結、継続的な検知・調査 |
偽装アカウントで投稿を増幅、政治的立場を問わず候補者を標的に
Xによると、今回の3つの活動では、実態を偽った複数のアカウントを使って米国政治に関する内容を投稿し、相互に拡散していました。Xは、このような組織的で不正な活動を検知し、プラットフォーム上の議論を人為的に操作する行為への対処としてアカウントを停止しています。
組織的な影響工作は、個別の投稿の内容だけで判別できるとは限りません。XのAuthenticity Policyは、偽の人物像を使った欺瞞行為に加え、複数のアカウントによって同じ内容を繰り返し投稿したり、「いいね」やリポストなどで特定の投稿の目立ち方を人為的に操作したりする行為を禁じています。一方、複数アカウントの保有や、政治的立場を示す正当な言論それ自体を一律に禁止する規約ではありません。
Xが説明する選挙関連の偽情報対策
XのCivic Integrity Policy(市民参加の公正性に関するポリシー)は、投票の日時・場所・方法などを誤認させる情報や、投票参加を妨げるための虚偽情報、選挙関係者への威嚇行為などを対象としています。
Xは利用者による「Civic Integrity」の報告をCommunity Notes(コミュニティノート)へのリクエストとして受け付け、投稿に追加の文脈や情報源を示す仕組みを提供しています。Community Notesは利用者が作成・評価する補足情報であり、ノートの付与自体が投稿削除や違反処分につながるわけではありません。
一方、深刻な事案ではXがCivic Integrityラベルを付ける場合があります。公式規約では、ラベルが適用された投稿について検索結果・おすすめ表示などでの露出や操作を制限する措置が説明されています。これらは、今回の1万3,000超のアカウント凍結とは別の執行手段です。
セキュリティ対策Labが過去に報じた中国・ロシア・イランの影響工作
中国に関連する活動では、セキュリティ対策Labが2024年8月、Microsoftの調査に基づき、米国人になりすました偽SNSアカウントが移民、国境政策、人種間の緊張など対立しやすい話題を扱い、生成AIで作成した画像や動画も利用されていた事例を報じています。MicrosoftがStorm-1376と呼ぶ活動を含め、政治的な議論への介入が以前から調査対象となっていました。詳しくは中国が生成AIで作成したコンテンツをSNSで利用し、米国で世論工作を実施で整理しています。
イランに関連しては、2024年の米大統領選挙を巡り、OpenAIがAIを利用した偽ニュース記事やSNSコメントなどの作成を確認し、関連アカウントへの措置を公表しました。セキュリティ対策LabではOpenAIがイランや中国によるAIを活用した選挙介入・サイバー攻撃の事例を発表として紹介しています。
ロシア発とみられる活動については、OpenAIが2026年8月、研究機関を装うInternational Burke Institute(IBI)を用いた秘密影響工作の調査結果を公開しました。ChatGPTは主として記事の宣伝用SNS投稿やコメントなどに利用されたとされています。この事案はロシア発とみられる秘密影響工作「IBI」の事例で報じています。
またOpenAIは2026年10月8日、ロシア発の「Dark Clark」とイラン発の「Bogus Bylines」という別の2つの活動を遮断したと公表しました。偽の研究機関や記者名義を使って記事を掲載・拡散する手法が説明されています。ただし、これらのOpenAIによる調査対象と、今回Xが凍結した3つのネットワークが同一であるとの発表はありません。
過去事例に共通するのは、投稿内容の作成だけでなく、発信者の身元を偽ったり、複数のアカウントや外部サイトを組み合わせて情報の信頼性や拡散規模を演出したりする点です。ただし、個々の工作の実際の到達範囲や影響は事案ごとに異なります。
企業の広報・セキュリティ担当者が確認したいポイント
企業や団体が選挙、外交、安全保障などに関する情報を発信する場合、投稿の反応数だけで世論の広がりを判断すると、組織的な増幅を見誤るおそれがあります。
広報・SNS運用担当者は、短時間に同一文面の投稿が集中した場合、投稿元アカウントの作成時期や過去の投稿傾向、情報の出典を確認する必要があります。自社名や役職者になりすましたアカウントが見つかった場合は、URL、投稿日時、スクリーンショットなどを記録し、Xのなりすまし報告窓口を通じて対応します。
また、政治的な話題を扱う際には、政府発表、当事者の原文、一次資料を確認してから拡散する運用を徹底し、外部からの投稿依頼や寄稿の出所も確認します。生成AIで作成されたことだけをもって偽情報と判断せず、主張の根拠と発信主体を分けて検証することが適切です。







